ホーム > 高歌哄笑 > 平成十四年4・5月合併号「親に感謝、皆さんに感謝、そして自立」

高歌哄笑-古賀武夫エッセー-


平成十四年4・5月合併号「親に感謝、皆さんに感謝、そして自立」

親に感謝、皆さんに感謝、そして自立

初夏の風が薫る季節となりました。

新入生の皆さん、ご入門を心から歓迎いたします。
数ある空手道場、スポーツクラブ、カルチャークラブ、英語教室、塾の中から当道場をお選び頂いたこと、大切なお子様をお預け頂きましたこと、感謝に耐えません。

新年度、復帰組も含め、空手二十四名、英語二十二名、そして、久しぶりに再開しましたフランス語講座に五名、合計五十一名の道場生で、道場は、エネルギー千%アップ、初夏の訪れと共に心の温暖化も更に進み、以前以上に超元気かつ和やかな雰囲気で、和気藹々とそれぞれの目標に向かって稽古に、勉強にいそしんでおります。

さて、ご存知のように、和道流柔術拳法古賀道場は、空手だけ教える道場ではありません。むしろ、空手も教える空手道場です。同様に、古賀英語道場は、英語も教える英語道場です。私たちは、空手や英語の技術の習得に止まらず、その奥にある道を極めて行きたいと思います。

古賀道場で一番大切にしたいのは、「つよくやさしく、やさしくつよく」、心身の健康と優しさ、そして自分の中心、背骨をしっかり持つことです。空手道場と英語道場は、地球市民の会の運動と三位一体となって、「明るく楽しく元気よく」、一人一人が自立して、自分の力を開花させ、体、徳、知、全人的オールラウンドに成長し、世のため人のために役立つ人となることを目的としています。
ただし、これまでの経験からしますと、その道場の良さが本当にわかるのは、高校を卒業してから後のことなのかもしれません。

ところで、先日、西高野球部の新入生歓迎会に出席し、部員、保護者の皆さんの結束の強さ、エネルギー、そして何よりも、内田勉監督の熱い思いと御話に感激しました。

そこで私は考えました。似た様に見えながら、学校の部活と当道場での修行には違いもあります。実質二年と限られた時間の高校の部活では、勢い、いかにして集中力と効率を上げ、競い、相手に、試合に勝ち、大会等で結果を出していくかに重点が置かれます。

一方、当道場では、年限はなく、自己をいかに高め、深めていくかに主眼を置き、五年、十年、いや一生かかって、地道に毎日の修業を積み重ねていきます。その一端として、試合等にも参加しているのです。
当道場では、部活としてやりたい人はそれなりに、また別の目的、たとえば、強くなる、世界チャンピオンになる、優しくなる、健康になるという目的でやりたい方もそれなりに稽古をして頂くことができます。

従って、いくつで入門しても、たとえば、高校三年生で卒業まであと一ヶ月で入門しても、逆に幼稚園から始めた人も、努力した分の成果は必ず自分の心身に種子として残り、いつの日にか必ずその人なりの芽を出し、花を咲かせて来ます。これまで、道場設立以来二十二年の経験からしても、卒業生の皆さんは、卒業後英語や空手は忘れても、何らかの形でここで学んだ精神を生かし世界中で活躍しておられます。

また、それ故に、一般の方々も、六十五歳から空手に入門される女性や、遠くは鹿島からでも通ってこられる六十五歳の男性、英語では、八十歳を超えて、日々また新たな努力を続けておられる重松さんのような方もおられます。

ちなみに、「まずは身体」を司る空手道場の方、高校生は、現在、佐賀西、佐賀北、佐賀東、致遠館、龍谷、武雄、清和、弘学館と、八校、男子二十五名、女子七名の三十二名で稽古を続けています(英語と空手、または、フランス語、空手の三つに同時に登録している生徒もいます)。

それぞれが、さまざまな悩みを抱えながら、自己の問題と立ち向かい、自分に打ち克って行く努力を続けています。

「成功する秘訣は、成功するまで続けること」、

天才でも凡才でも、続けること以外に仕事も学業も芸術も武道にも成功はありません。

ついでながら、今春の高校卒業生のその後ですが、吉村洋祐(東京外国語大学)、山下翔一(広島大学)、松尾大輔(東京大学)は、三人とも、弐段を引っさげて大学空手部に入部、早速五月初旬の国公立戦に向け、レギュラー候補として稽古を始めたようです。

山下と松尾は恒例のゴールデンウィークの合宿にもわざわざ帰省して参加しました。まさに指導者冥利に尽きるというものです。

浪人組も、受験勉強のストレス解消とばかり、福岡の予備校や多久から稽古に通って来ています。

最後になりましたが、こうして今の生活があるのは、この世に生み出してくれた両親のお陰、そして、生かして続けて頂いているのは、すべて皆さんのおかげです。感謝の心を忘れないようにいたしましょう。

と、同時に、自分が好きなことをやらせて頂いているわけですから、中・高校生ともなれば、道場訓にあるように、「自立、協力、共生」、費用(の一部)は当然自分で負担する、もし今なければ、出世払いでお返しする気持ちで、ご両親から「お借り」してやらせて頂くくらいの気概、自立心、独立心は持って頂きたいと思います。大人になるとは、自立し、人に迷惑をかけないことなのですから。

過去において、こういう生徒さんは何人もおられました。妹のために、貯金を何十万円も出して、当道場主催のアメリカ研修旅行に参加させた中学三年生のお姉さんもいました。新聞配達をして、タイの子供の里親を続けた中学生、高校生もいました。

私自身は、大学からでしたが、両親に感謝しながらも、仕送りして頂くのを断るお願いをし、東京、フランス、そしてカナダで自活しました。「自立」というのは、親離れ、子離れの別の言い方でもありますね

にもかくにも、これからの当道場での修業が、新入生の皆さんにとって、まず楽しく、やりがいがあり、実りあるものとなることを心よりお祈り申し上げ、無理のないご精進を期待しております。

(平成14年5月13日 古賀武夫)